ニュージーランドで一番人気ともいわれ、世界でも大人気のデイトレッキングコース
トンガリロ・アルパイン・クロッシング(Tongariro Alpine Crossing)を紹介します。
北島の真ん中にあるトンガリロ国立公園にある、クイーンズタウンやマウントクックにも負けない美しく幻想的な景色が楽しるトレッキングコースです。
クレーターやエメラルドグリーンの火山湖、蒸気孔など、絶景が望め、
ルート上にあるナウルホエ山は、映画「ロード・オブ・ザ・リング」のモデルとなった場所です。
自然派のトランパーにも、映画ファンにもチャンスがあればぜひおすすめしたいトレッキングコースです!
北島の真ん中、トンガリロ国立公園
自然と文化の世界複合遺産
トンガリロ国立公園の一帯は、もともとニュージーランドの先住民族であるマオリの人々にとっての聖地でした。このマオリ族文化との結びつきから、文化と自然の複合遺産として世界遺産に登録されています。
夏はトレッキング、冬はスキー場として観光客が集まります。
総面積は、約8万ヘクタール。美しいエメラルドグリーンの火口湖、山間に広がる草原、北島最大の活火山の周辺に湧く温泉など、多様な自然環境にも恵まれています。
3つの火山
トンガリロ国立公園は、現在も火山活動の続くトンガリロ山、ルアペフ山、ナウルホエ山という3つの山が火山地帯です。
ナウルホエ山は、富士山に似た形で、頂上に登ることも可能ですが、トレッキングをしながら眺めるだけでも美しい山です。
トンガリロ・アルパイン・クロッシングは、トンガリロ山とナウルホエ山の間を横断する世界遺産を歩くルートです。コースでは、クレーターや湖など、幻想的で迫力のある景色が楽しめます。
ロードオブザリング好きには見逃せない
ナウルホエ山は映画「ロードオブザリング」に出てくる、あの主人公フロドが指輪を投げ入れる『滅びの山』のモデルとなった山で、ここでも撮影が行われたようです。
約20キロのデイトレッキング
一日かけて歩く横断ルート

出典:DOC
トンガリロ・アルパイン・クロッシングでは、19.4kmの距離を、7〜8時間かけて歩きます。
コースは、マンガテポポ(Mangatepopo)から森の中にあるケテタヒ(Ketetahi)まで。
どちらからでも歩けるコースですが、ケテタヒからスタートすると登りが増え、より長い時間がかかるため、マンガテポポをスタート地点とするのが定番です。
マンガテポポからスタートすると、高低差は800m弱。
道は整備されていて歩きやすいですが、登りがきつく、少々難易度の高いコースです。
ピークシーズンは夏
メインシーズンは11月~4月です。
冬の期間でもトレッキングは可能ですが、積雪や暴風さらには雪崩などの厳しい気候条件となる場合があるため万全の装備が必須で、雪山に慣れていないようであれば、ガイドウォークが推奨されます。
私は、5月にトレッキングしたのですが、同じように歩いている人はたくさんいました。
12月~2月の夏の期間は登山者が多く、混みあうようです。
出発はタウポからでもOK
最寄りの町は、Whakapapa Village(ファカパパ・ビレッジ)です。
車で1時間ちょっとのタウポからでもアクセス可能です。
どちらを出発するにしても、登山口までの交通手配が必須。
登山口と終了地点が異なるトンガリロクロッシングは、送迎シャトルバスの手配が強く推奨されています。
以前は登り口のマンガテポポに車を置いておくこともできましたが、今では4時間の時間制限があるようです。
シャトルバスは宿で手配するか、i-SITE(アイサイト/ビジターセンター)で申し込みできます(NZ$25~70程度)。
私は前日にタウポのi-SITEに行って天候状況を確認し、送迎サービスに加えてクランポン、ピッケルの手配もあわせて申し込みました。
ナウルホエ山の追加ハイクも可能
サウスクレーター手前の階段を登り終えたあたりから、ナウルホエ山(Mount Ngauruhoe)に登ることもできます。
追加ハイクなので、登り終えたら元のルートに戻ってコースを歩きます。
往復で2,3時間ほど。私は登りたかったのですが、その前の階段で既に時間が押していたため諦めました。
コースの理解が第一歩
難易度は、上級よりの中級
ニュージーランドではいくつかのトレッキングに挑戦してきた私ですが、
正直、このトンガリロ・アルパイン・クロッシングが最もきつかったです。
スタート地点の海抜1,120mから1,886mの最高到達地点(レッドクレーター)まで、標高差800m弱のコースです。
コースの山場は2つの登り。
・ソーダスプリングからサウスクレーターまで。1時間弱ほどですが、長い登り階段がきつい!
・もう一つは、サウスクレーターからレッドクレータ-まで。約1時間の道のりです。平らなサウスクレーターを過ぎると、レッドクレータ-までの急な登りが待ち受けています。
私が特にしんどかったのは、サウスクレーターまでの登り。雪に足がとられて、踏ん張りがきかず、階段では何度もヒヤッとしました。階段を登り終えるとすでに、脚が疲弊しているのを感じました。
この2つの山場の登りを越えるとあとは、ほぼ下っていくのみです。
距離は長いですが、後半はひたすらなだらかな道が続きます。後半には蒸気孔をたくさんみかけますが、同じような景色が続くため、前半の各ポイントで景色を楽しんでおくことをおすすめします。
デイパックで身軽に
日帰りトレッキングなので、小さいバックパックで十分です。
雨具や防寒着、雪道装備は必要に応じて用意が必要です。天気予報をチェックして、急な天候の変化にも備えましょう。上のほうは風が強いので、風を通しにくいウィンドブレーカーがあるかといいと思います。
忘れてはいけないのが、水!途中での給水ポイントはないと思っておいたほうがいいです。
最低2リットル、夏場や天気のいい日も多めに持って行きます。
予定外の雪道登山に悪戦苦闘
私は、ここで初めてのまともな雪道登山を経験しました。
滑る雪の上では、踏ん張るのにとても苦労します。足元が不安定だと、余計に力を入れるので体力を消費しました。
雪道のコンディションになった際には、クランポンやピッケルの装備が必須です。
折り返しは、レッドクレーターより手前で
横断ルートのトンガリロクロッシングですが、途中で引き返すことも可能です。
サウスクレーターやレッドクレーターで時間を確認し、一定の時間までにたどり着いていないようであれば、引き返しが推奨されます。
折り返すかどうかの分岐点は、レッドクレーターです。ここを越えた後はあまり引き返すメリットはありません。
雲行きが怪しくなってきた、体調がすぐれない、思っていたよりしんどくて歩ききれそうにない、というような場合は、無理に続行すると危険です。
怖いのは、明るいうちに終了地点に到達できなくなってしまうこと。
身体の調子や進み具合を冷静に考えて、引き返すという判断も必要です。
参加するには
i-SITEで天候チェック
トンガリロクロッシングをするには、まずは天候チェックをしましょう。
特にシーズン始まりやシーズン終わりは、雪が残っていて、入山を推奨しない場合もあります。
i-SITE(ビジターセンター)に立ち寄って、山の情報を聞いてみるのが一番確実です。午後から雨が降りやすいなど、詳しい天候情報も手に入ります。
実際に足を運ぶのが難しければ、最新の気候情報を確認しておきましょう。
1週間は余裕を持ちたい
トレッキングは天候に左右されるアクティビティです。
できればトレッキング日和のベストの日に行きたいとだれもが思うもの。
当日は晴れていても、前日の雨や雪で滑りやすいということもあるので、そのあたりもi-SITEで聞いておくと安心です。
雲が降っていたり、風が強かったりと、1週間入山できない日が続くことも珍しいことではありません。
また、タウポの天気と山の天気は異なります。山の天気は変わりやすく、晴れの予報でも急に雨予報に変わることもあるため、最新の天気情報は前日に必ず確認が必要です。
私自身は、10日ほどタウポに滞在して天候のいい日を待っていたのですが、最初に予定していた日は、雲がかかっていけず別日に変更しました。
1週間待ったけど、入山できる日が無く諦めたという話を聞いたことがあります。
装備はしっかり!雪が降ったら要注意!
私が挑戦した際は、数日前に雪が降ったため雪に覆われた山を歩くことになり、クランポン(アイゼン)とアイスピッケルを装備してのトレッキングでした。
コースの全行程ということではありませんが、予想以上に雪があり、雪道の装備していても、普段のハイクより格段に大変なものでした。
私は前日にアイサイトで確認して、雪山装備(クランポンとピッケル)をしていったのですが、急に降った雪だったため、装備していない人も多く見かけました。
そしてそのほとんどの人が、雪道の滑りやすさにかなり苦労していましたし、下り道で転んでしまったり、お尻で滑りおりている人を何人も見かけました。明らかに危険な状況でした。
慣れていないのであれば、雪道トレッキングは諦める、またはガイドをつける、少なくとも装備をしていくことが、危険を回避するためにも大切です。
アクセスは往復シャトルバスを
私はタウポから出発したのですが、往復のシャトルバスを手配しました。
トンガリロクロッシングの登り口まで、車で行くこともできるのですが、クロッシングというとおり、山を越えていく横断ルートで、出発地と終了地点は異なる場所です。
ヒッチハイクで到着地点から登山口まで戻る人もいたのですが、同じように歩き終えた人たちが、同じルートを帰ろうとするので、私が見かけたときはヒッチハイクの長い列ができていました。
20キロ歩いた後に、長時間待つのはしんどいので事前にバスを手配しておくのが賢明です。
私も車で行くこともできたのですが、地元の人にバスで行くよう強く勧められました。
終了地点のケテタヒからタウポの中心地までは、車で1時間ほどかかります。
歩いた後はクタクタで、帰りのバスでは私含め、トレッキングを終えて乗車していた人達ほとんどが眠りについていました。そんな状態で運転して帰るのはかなり危険だったと思います。
バスを予約していてよかったと心から思いました。
終わりに。幻想的な景色が最高!
苦労したトレッキングではありましたが、最高に楽しんだトレッキングでもあります。
とにかく景色が最高!
雪に覆われていたため、レッドクレータ-の赤い山肌は見られなかったのですが、美しく幻想的かつ壮大な雪山の景色に大満足でした。しんどかったけど、雪道を頑張って歩いてよかったです。
気候のいい夏もいいですが、真っ白な雪景色を望める雪道登山もおすすめです^^
