ニュージーランドに「世界一美しい散歩道」といわれる場所があるのを知っていますか?
ミルフォードトラックは、ニュージーランドにある9つのGreat Walks を代表するトラック。
The finest walk in the world 「世界一美しい散歩道」として知られ、
この美しい散歩道を歩くため、世界中からトランパーがやってきます。
私もニュージーランド滞在中に、思いきって参加してきました!
電波も届かない現実と乖離されたエリアで、壮大な景色に感激しながら、一歩一歩をかみしめるように歩いてきました。
壮大な景色を前にすると、自分がとてもちっぽけに感じ、まるで映画「ロードオブザリング」のような物語の中にいるのではないかというような錯覚さえあります。
ここでは、ミルフォードトラックの紹介、その参加方法や、トラックの難易度、ツアーの内容について書いていきます。
フィヨルドランド国立公園にあるトレッキングルート
南島の南西端のフィヨルドランド
ミルフォードトラックは、ニュージーランド南島の南西、フィヨルドランド国立公園(Fiordland National Park)に属します。
ユネスコ世界自然遺産にも登録されているニュージーランド最大の国立公園(12,500 km2)。氷河の浸食によりできた入り組んだ入江(フィヨルド)が特徴です。
拠点となるのは湖のほとりのテアナウ
テアナウ湖の北端からスタートし、ミルフォードサウンドまで歩いていくルートです。
拠点となるのは、テアナウ(Te Anau)という小さな町。南島最大、ニュージーランドでは北島のタウポ湖に次いで2番目に大きいテアナウ湖のほとりにある町です。
テアナウは、ミルフォードトラックだけではなく、多くのトレッキングコースの拠点となる場所です。クイーンズタウンから車で2時間の距離にあります。
ミルフォードトラックを歩くには
予約必須!早めの計画を
オンシーズンは南半球の春~秋にあたる11月から4月。
シーズン中は予約必須です。
何を予約するかというと、宿泊するハット(山小屋)を予約する必要があります。無断での入山はできず、歩くには決まられた場所に宿泊する必要があり、ハットの予約は、3泊分まとめて行います。キャンプも禁止されています。
人気のあるトラックのため、早めの予約が必須。シーズン始まりの約1年前(10月終わり頃)から翌シーズンの予約が開始されます。予約開始時期を待ち構えている人も多く、予約は早い段階でほぼ埋まってしまいます(予約はDOCのウェブサイトから)。
予約が取れなかった場合は、キャンセルで空きが出るのを待つしかありません。直前になるとキャンセルが出やすいので、こまめにチェックしてみてください。
スケジュールに余裕があればですが、現地(テアナウなど)に行ってから、いつでも行ける状態でキャンセル空きが出るのを待つという方法もあります。
交通機関の手配も忘れずに
予約が必要なのは、3泊のハットだけではなく、トレッキングコース前後交通機関の手配も必要です。トラック開始場所まで、また終了地点(サンドフライポイント)は、ボートに乗っていく必要があります。
テアナウを拠点として、
- テアナウからテアナウダウンまでのバス
- テアナウダウンからトレッキングスタート地点までのボート
- ルート終了地点(サンドフライポイント)からミルフォードまでのボート
- ミルフォードからテアナウまでのバス
これらの手配が必要ですので、前もって計画しておく必要があります。
個人ウォーク申し込み時(ハットのチケット予約時)に、セットでトランスポートオプションが予約できます。
ちなみにトレッキングに必要のない荷物は、(有料の場合もありますが)トレッキング開始前の宿泊施設で預かってもらうのが一般的です。
行程は3泊4日の一方通行ルート
全長54kmの道のりを4日間かけて歩きます。
(※)ルートは同じですが、個人ウォークとガイドウォークでは宿泊場所が異なるため、日ごとの配分は多少異なります。
スタート地点とゴール地点が異なる一方通行のルートです。
そのため、ルートの一部だけ歩くということができず、ミルフォードトラックを歩くには、必然的に3泊4日の行程です。
上記の行程を見てわかるように4日のうちの最初の一日は、わずか数キロのみ。ウォーミングアップ程度で宿泊地にたどり着きます。
本格的に歩くのは2日目からの3日間です。
参加方法は2種類
競争率高い!ハットを予約
上記で紹介しているのは、この個人で参加する方法。
オンシーズの間、ミルフォードトラックは、無断で入山することはできません。
手軽に参加するならツアー
個人で参加よりもずっと手軽に参加できるのがツアー。
ガイドウォークのツアーを行っているのは、Ultimate Hikesです。
個人予約程ではないですが、こちらのツアーも(特にシーズンピークは)早めに埋まりやすいです。
All inclusive(すべて込み)のツアーなので、食事の準備や交通機関の手配も必要ありません。ツアー開始場所は、クイーンズタウンとテアナウから選べます。
このツアー会社は、日本語ガイドも多いので、日本語でのサポートが受けられることも。
レインカバー付きのバックパックや、レインジャケットを借りることもできます。
歩く行程は3泊4日間ですが、トラック終了後にミルフォードに宿泊するため、ツアーは4泊5日の行程。5日目にバスでテアナウを経由してクイーンズタウンへ戻ります。
“散歩道”の難易度は
初級よりの中級レベル
散歩道というだけあって、簡単なように聞こえますが、難易度は、中級者向けとなっています。
私自身、何度かデイトレッキング(日帰りトレッキング)をしたことがあったものの、数日かけて泊りがけで行うトレッキングは初めてでした。
ただ日頃からよく歩いていたので、平均よりは体力もあるほうだったと思います。
簡単ではないけれど、(無理のない程度で)頑張れば達成できるちょうどいい難易度だったかと思います。
3日目のマッキンノンパスを越えるところは登りが長く、かなりしんどかったですが、あとは平坦な道が多いため比較的楽に歩くことができました。
ということで、勝手な見解ですが、初級よりの中級レベルという判断です。
初心者でも準備しておけば乗り越えられます!
荷物は軽ければ軽いほうが楽に
いうまでもないことかもしれませんが、荷物が軽いだけ楽に歩けます。
いつもデイパックで日帰りトレッキングが基本の私には、バックパックの重みが最も大変なことでした。
始めはあまり感じないかもしれませんが、歩く距離が長くなってくるにつれてバックパックの重みはずっしりとしてきます。
防寒着やレインウェアなど必要なウェアも多くなりますが、できるだけ小さく、コンパクトにまとめるほうが賢明です。
私はいつも荷物が多くなってしましい、あとから後悔します。。
ツアー参加の魅力
ガイド付きで安心(日本人ガイドも)
ミルフォードトラックは、とても分かりやすく整備されたルートなのでまず迷うことはありません。
それでもやはり、ガイドがいるのは安心。ルートでの注意点やペース配分のこと、相談しながら進むことができます。
順調に歩けているときには良くても、怪我をしたり、体調を崩したりというようなときには人の助けが必要です。
同じツアー参加者の中には、途中で体調を崩してしまった人がいました。連絡も取れない場所にいるので、そういったときに、継続できるのか、やめるべきなのかの判断や応急処置、やり取りをサポートしてもらえるのはとても心強いです。
快適なロッジと贅沢な食事
ツアーに参加する場合は、個人参加で泊まるハットとは違ってロッジに宿泊します(個室と相部屋から選べます)。
ロッジは暖かくとても快適で、快適なベッド、さらにホットシャワーもあります!登山中にホットシャワーが浴びれるのは、本当に贅沢なことです。
手洗いできる洗濯スペースと乾燥室まであるので、汚れを落とし、濡れた衣類を乾かすこともできます。衣類を洗って繰り返し着られるので、荷物が少なくて済みます。
レストランで出てくるような贅沢な食事も含まれていて、もちろん自分で準備する必要はありません。(節約留学生活をしていた私にとっては、食事は豪華すぎてもったいないくらいでした)。
夕食、朝食はロッジで食べ、ランチは用意されたものからサンドイッチやサラダなど自分で選んで出発前に作って行きます。スナックも豊富に用意されていました。
世界各地からの参加者
高いツアーなだけあって、参加者の年齢層は少し高めでした。
30、40、50代くらいの方が多かったかなと思います。また、60、70代の参加者もいました。年配の方は経験豊富な歩きなれた方が多いですが、旅行の延長で参加している人も結構いました。
夫婦や友達同士での参加、一人で参加している人、新婚旅行で、などと様々です。
オーストラリア、アメリカ、カナダ、イギリス出身、数人は韓国や日本からの人もいましたが、英語圏出身の方が大半です。
4泊5日の間、一緒に過ごすので、参加者との交流も一つの楽しみです。
正直な感想(ツアー参加)
ツアーに参加しての正直な感想は、私にはちょっともったいなかったかな。です。
キャンプや山小屋に泊まるトレッキングと比較すると、超贅沢なトレッキングツアーです。
あんな電波のない辺鄙な場所で、ラム肉のステーキや、サーモングリル。。私の中のトレッキングの感覚とはかけ離れていました。
でもその贅沢さがこのツアーの魅力でもあるようです。
個人的には、ハットの予約ができれば個人ウォークでもいいかなと思うのですが、
それはあくまで私がある程度旅慣れていたり、体力もあるからだと思います。
快適さが個人ウォークとツアーで格段に異なるのは間違いないです。
ガイドウォークのツアー代金は確かに高いですが、それだけのものは提供されていると感じました。(贅沢な食事の材料はヘリで運ばれています)。
個人ウォークであってもハット一泊NZ$140というなかなかの金額がかかることや交通費や食事の手配が必要なことを考慮すると妥当な金額なのかなと思います。
山小屋宿泊に慣れていなかったり、少しでも快適さを求めるのであればツアー参加をおすすめします。
準備すること
レインギアの準備はしっかりと
トレッキングの基本ですが、雨対策は必須です。
特にフィヨルドランド国立公園は、ニュージーランドでもとりわけ雨の多いエリアです。
私が参加した際も雨が降る日がありました。幸い、酷い雨はなかったですが、雨が続くと膝くらいまで水に浸かることも珍しくないそうです。
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こういう防水パーカーは必須。ゴアテックスが安心です。
サンドフライ対策
危険生物がいないといわれるニュージーランドにも厄介な生き物がいます。
サンドフライ(sandfly)。フライという名前がつくとおりハエです。これが厄介なハエで、かまれるととにかくかゆい。個人差はありますが、かゆみは数日後から始まり、数週間続きます。
一番の対策は長そで長ズボンで肌を露出しないこと。サンドフライはハエなので蚊のように服の上から刺されるという心配はありません。薄手でも一枚着ているとそれだけで防ぐことができます。
あとは、体を動かしている間(歩いている最中)は、サンドフライはとまることはできず、刺されることはありません。
水辺によくいるので、注意してください。
スーパーや薬局でサンドフライ対策のスプレーなどが売っています。
私の経験上、ナチュラルと書かれた製品は効かないので、通常のスプレーを持っていくことをおすすめします。
家族や友達への連絡
ミルフォードトラックは、完全に電波がありません。
ロッジに到着しても同じことです。
緊急時には、ガイドが連絡をとってくれますが、丸4日間は誰とも連絡が取れないと思っておきましょう。
トレッキングに行って、連絡が取れないと心配されるかもしれないので、事前に家族や友人に伝えておくと、安心してもらえます。
ミルフォードサウンドもお忘れなく
ミルフォードトラックの終了地点はあの美しいミルフォードサウンドです。
ツアーだと翌日にクルージングが含まれているので、逃すことはまずないですが、個人で行く場合にも、ぜひ立ち寄ることをおすすめします!
ミルフォードサウンドまでのアクセスは容易ではないので、一旦クイーンズタウンなどに戻ってしまうとここまではなかなか戻ってこれません。
終わりに
魅力の多いミルフォードトラック、歩いてみるとその景色に感動することは間違いありません。
申し込み不要で気軽に歩けるトレッキングルートが多い中、予約や手配が事前に必要で、費用もかかるミルフォードトラックは少しハードルが高め。
でもそれだけの魅力はあると思います!
興味を持った方はぜひ、参加を検討してみてください^^